mol-74(モルカルマイナスナナジュウヨン)「エイプリル」の歌詞の意味を考察します。
インディーズ時代のミニアルバム「kanki」(2016年8月)、メジャーデビューアルバム「mol-74」(2019年4月)の収録曲です。
作詞をボーカル&ギター&キーボードの武市和希さん、作曲をmol-74が担当した「エイプリル」の歌詞をチェックしましょう。
小説「ぼく明日」の概要
武市和希さんは、七月隆文さんの恋愛小説「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」(宝島社、2014年8月、以下「ぼく明日」)に触発されて「エイプリル」の作詞をしたそうです。
大谷紀子さんによる漫画(宝島社、2016年7月)、福士蒼汰さん&小松菜奈さんが出演する映画(2016年12月)、梶裕貴さん&高月彩良さんなどが出演する朗読劇(2018年8月)にもなりました。
京都の美大生・南山高寿(みなみやま たかとし)が美容専門学校生・福寿愛美(ふくじゅ えみ)に一目惚れして交際するものの、普通の恋人同士ではいられない秘密があるという悲しい物語です。
エイプリル 歌詞考察!
普通の失恋ではない?
「エイプリル」の歌物語の語り手は小説「ぼく明日」の主人公・高寿、「君」は一目惚れした相手の愛美をイメージしているでしょう。
普通に考えると、付き合っていた彼女と別れた後に、2人で観た映画をもう一度ひとりで観に行ったところです。
失恋をなかなか受け入れられず、元カノに未練があり、楽しく付き合っていた頃と同じ行動をすればよりを戻せるのではないか、と考えたことになります。
しかし「ぼく明日」の2人は普通の恋人同士ではありませんでした。
お互いに好きなままでも、離れ離れにならなければいけない「秘密」があったのです。
ネタバレになるので「秘密」については明かせませんが、「ぼく明日」を読むと「戻れそう」という言葉が切なく響くのではないでしょうか。
mol-74は京都発の4ピースバンド、「ぼく明日」の舞台も京都ということで、小説に出てくる「線路沿い」などの「街並」は、武市和希さんにとっても身近に感じやすい場所だったはずです。
また「ぼく明日」の舞台となった京都に限らず、リスナーが暮らしている街をそれぞれ思い浮かべることもできる歌詞になっています。
見慣れた景色は「変わらない」のに、自分だけが年齢を重ねて「変わった」と取り残されたような気分になることもあるでしょう。
普通の世界では時間をさかのぼることはできないので、過去には「戻れない」と泣きたくなるときもあるものです。
「ぼく明日」の世界観になぞらえると、なおさら時間の経過が身に染みます。
サビです。
小説で2人は4月の30日間だけ付き合います。
出会いは「奇跡」で別れは「必然」というのも、ある「秘密」のせいです。
普通の恋人同士なら、お互いに好きなままなのでいつまでも一緒にいられたはず。
しかし、どうしてもすれ違わなければいけない切ない運命が待ち受けています。
「僕」も変わり、「君」も変わりますが、変わり方が異なるため、ハッピーエンドの映画のようにはならない「結末」なのです。
タイトルどおりのSF的な仕掛けがある小説を読んで、普通の日々のありがたさに涙した人もいるのではないでしょうか。
楽曲制作の意図が込められている?
「他人の意見に左右されすぎず、自分らしく生きる」というのは普通に大切な考え方ですが、小説を読むとなおさら強く実感するでしょう。
何しろ一般的な「基準」が通用しない世界観です。
誰の言うことが正しいのかわからなくなるほど混乱したときこそ、「自分はどう感じるのか」という「心」の声に耳を傾けたほうがいいでしょう。
この後、サビが繰り返されます。
「ぼく明日」の主人公・高寿も、「エイプリル」の語り手「僕」も、基本的には思いやりのある優しい人でしょう。
しかし他人の意見を聞きすぎると物事が上手くいかなくなるので、せめて自分らしく生きようと決意しているイメージです。
誰かのために自己犠牲を払ってでも優しく振る舞いがちな人にとっては、むしろ自分のために生きることが大切になります。
サビが繰り返された後、「何を願う」以降が追加され、「結末」を迎えます。
映画「ぼく明日」の主題歌はback numberの16thシングル「ハッピーエンド」(2016年11月)でした。
もしかしたら武市和希さんが小説を読んで、映画化されるなら主題歌を担当したいと願ったときには既に「遅すぎた」のかもしれません。
それでも小説への思い入れが強く、「エイプリル」という楽曲を制作したことに対して、リスナーには「笑顔で聴いてほしい」というメッセージでしょうか。
「僕自身の基準、誰かの幸せ、僕だけは」といった歌詞にも、「エイプリル」を制作した意図が込められているのではないかと想像してみるのもおもしろそうです。
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さいごに
「エイプリル」のMVには、YouTuberのririka(元女優りりか)さんが出演しています。
ririkaさんは、シンガーソングライターYeYe(ィエィエ)さんの「ゆらゆら」(映画「恋とさよならハワイ」主題歌)のMVにも出演しているので併せてお楽しみください。